その時。
……バタ、バタバタ。
遠くの方で何か音がした。と、そう思った瞬間。
「ひゃっ」
背後から襲う、突然の突風。
それは塵や埃や、あたしの髪もスカートも全てを巻き上げ、駆け抜ける。
まるで春を知らせる風のように。少し早い春一番のように。
一瞬で走り去った風に乱された髪を整え、身構えた体の力を抜いた時。
「……ツヤコ?」
血が沸き上がる。そう感じさせる声……それが窓の外から聞こえた。
声に引っ張られでもするように、気がつけば振り向いてた。
振り向いた先で目はただ一点だけを探してた。
声の主を。
足を止めてあたしを見上げるアキの姿を。
……あっ。
一気に心音が加速する。
アキの手に握られてるもの。
それは、さっき投げた紙ひこうきだった。



