妄想ラブレター




「あっ!」



投げた瞬間、丸めた紙は風に乗って逸れてゆく……。



「ちっ!」



“チビ!”


“短気!”


“嘘つき!”


“こっち向け!”


“いい加減、気づけ!”


書いては投げ、書いては投げ……るのに、どれもアキのところまで届かない。



「ちっ、なんでよ!」



こんな紙切れすら届かないっていうのか。



あたしの想いも、全て……。





再びノートをちぎろうとした時、アキはゆっくり立ち上がり、歩き出す。


何事もないような足取りで、アキは門の方向を向いていた。


あたしは奥歯を噛み締め、再びペンを取る。


一言書いて、今度は丸めずに折った。


久々に折る紙ひこうき。


しかもこんなノートを破いた紙でちゃんと飛ぶのかはわからない。


でも、もうなんでもよかった。


このイライラが、この苦しさが、消えてしまうのであれば。





どうか。


どうか、お願い。


あたしの想いが、届きますようにーー。





たくさん言葉を考えた。


たくさんラブレターを書いてきた。


それでも今、思い浮かぶ言葉は、たったのこれだけ。



あたしはアキがーー。






“好き”