ーー例えフラれてもそれは、失敗なんかじゃないんだよ。
それは突然だった。
脳内で再生されたその声は、以前えりなが言った言葉だった。
えりな、告白なんてできないから。無理だから。
えりなは失敗じゃないっていうけどさ、でも、フラれるのがわかってて告白するなんてドMもいいとこじゃんか。
あたしにはそんな勇気ない。
はー、と息を吐き出し、ゆっくりと頭を上げる。
そして再び裏庭を見下ろすと、先輩は立ち上がってアキに笑顔を向けていた。それを受けて、アキも照れたように顔を赤く染めて目尻を落とした横顔が見えた。
小さな泣きぼくろは笑ってるように見える。
ーーズキン。
さっきよりも深く、鈍い音が胸の奥で鳴った。
これ以上は見てられない……そう思って立ち去ろうとした時、先輩はアキに何かを手渡し、アキはそれを受け取った。
……あっ。
すぐにアキのポケットに仕舞われたそれは、一瞬だったけど、あたしには何かわかる。



