妄想ラブレター





「あたしは艶ちゃんを怒らすような事はしてない」



きっぱりとそう言うえりな。


そんな彼女に戸惑いつつ、その表情にどこか懐かしさが込み上げる。


ああ……えりなのこんな表情を見るのは久しぶりだな。


中学の時、えりなは周りの女子から嫌われてた。全部は知らないけど、結構色んな嫌がらせにもあってたらしい事をまおみから聞いた事がある。


無視や悪口なんて当たり前、トイレ掃除の時、えりながずぶ濡れになって戻ってきた時だってあったっけ。


詳しい事は何も言わなかったけど、それもきっとクラスの女子にやられた事だと思う。


それでもえりなは負けなかった。


彼女は可愛いだけじゃなく、とてつもなく強い。そこが良いところでもあり、尊敬してるところでもある。


あたしとまおみとつるむようになって、一度、あたしは女子に呼び出された事があった。それはえりなをよく思ってない女子からだった。


直接的に嫌味を言われ、あたしに嫌がらせをしようとした時、えりなは今みたいな表情でその女子達とやり合った。


綺麗に巻いた髪が乱れ、綺麗にネイルされた爪が欠け、それでも女子に向かっていった。


ヒーローかと思った。


こんなに可愛いのに、どちらかといえばお姫様とかヒロイン役が似合うはずなのに、かっこいいと思った。


今目の前に佇むえりなは、あの時とダブって見える……。