白くて柔らかいえりなの腕がほんのり赤く色づいた。でも、それでもあたしは容赦せず腕を引いた。



「なんでも無いんです。お邪魔して本当にすみませんでした!」



そう言って頭をさげようとした時、先輩があたしの顔を食い入るように見てる事に気づいて、思わず動きが止まる。


真っ黒な瞳が真っすぐあたしを見つめてる。


その瞳にあたしは体の自由を奪われた……そう思ってしまうほど、純度の高い宝石のような瞳があたしを捕らえて離さない。



「……あなた、瀬戸くんと同じクラスだよね?」



……え?


なんで知ってるんですか。そう言いたいのに、びっくりして言葉が出ない。



「なんで艶ちゃんの事知ってるんですか」



冷静にあたしの言葉を代弁してくれたのは、えりな。その隙にあたしの腕を再び振り払う。けど今度はもうえりなの腕を掴もうとは思わないけど。