「艶ちゃん、今日は買い物付き合ってくれてありがとね」



そう言ってキラキラスマイルを振り撒くのはえりな。


たくさんの買い物袋を隣の座席にどさりと置き、頭のてっぺんでまとめたお団子を揺らした。



「ううん別にいいよ。どうせ暇だったし」

「そうなの? 冬休みはどうしてたの?」



あたしに質問しながらも手を挙げて店員を呼び止め、えりなはロイヤルミルクティーを頼み、あたしはカフェオレを注文した。



「んー、まおみと由美子と一緒にカウントダウン行って、あとは年明けに親戚の家で集まったくらいかなぁ」



口に出してみてはじめて自分の予定の無さに気づかされた。


なんてわびしい冬休みなんだろ。



「えー、もったいないよー。せっかくの冬休みなんだからもっと遊ばなくちゃ。高校一年の冬休みはたった一回きりなんだよ?」

「そういうえりなはどうなのよ。クリスマスと年末年始は彼氏と過ごしてたんでしょ」



あっ、えりなの口元が小さく膨らんだ。


なんて分かりやすく怒るんだ。いちいち可愛いなぁ、ほんと。