「でもさ、なんで文通なのよ?」 「だからそれはさっき……」 「そうじゃなくって、それなら交換日記とかでもいいわけでしょ?」 瀬戸は肩で溜め息をついた。 「人の日記なんか読んで何が楽しいよ?」 それを言うなら、人の手紙なんか読んで何が楽しいよ? そもそも何が違うのよ。 「ただの文通がしたいって言ってるんじゃないんだぞ。手紙にはテーマを決めてるんだ」 「テーマぁ?」 あくび混じりに言った言葉だと言うのに、瀬戸は目を爛々と輝かせて言った。 「テーマはズバリ、恋文限定!」