背筋に冷たいものが走る。
その声を聞いてあたしはやっと冷静さを取り戻した。
けれどそれはもう、後の祭りだ。
静かにコーヒーを飲むアキは、何かを飲み下そうとしているようで、少し前のあたしみたいに何か言いたい事があるけど、その言葉を吐き出さないようにしているようで。
品の良い調度品、ファンシーな店内。なのにアキの周りだけ重苦しい重圧的な空気が流れてる。
どうにかして取り繕おうとするけど、言葉が出ない。完全に重いアキの空気に飲まれてしまった。
そもそも取り繕うって事自体、得意じゃない。
なんて言えばいいんだろう。どうにか元の空気にもどさなければ。……そう思うのに、あたしはやっぱり口を開く事が出来ないでいた。
一瞬、チラリとこちらを覗き見たアキの目。
まるで他人を見るような、いつも感じていた暖かみを感じない冷ややかなものだった。
すると突然ポケットからスマホを取り出した。小さな振動音がやけに耳に響く。



