妄想ラブレター




「決めるのはアキでしょーが。それともなにか、あたしがその子と付き合えばいいって言えば付き合うの?」

「なにもそこまで言ってないだろ」

「言ってるように聞こえたわ」



むかつく。

アキの顔もどんどん険しくなってきてるけど、知るもんか。ムカついてるのはこっちだ。



「あっ、でもダメか。アキには好きな人がいるもんね。雪村先輩、だっけ? 綺麗な人だよね」



むかつくむかつく。



「でも先輩だって振り向いてくれんじゃない? アキってば身長だって伸びてきたし、実際こうしてモテだしたわけだし」



あたしの気持ちなんてこれっぽっちも知らないくせに。



「暇つぶしにあたしと恋文交換とか持ち出したけどさ、あれって実は先輩に告白するつもりで書いてたんじゃないの? 予行練習ってやつ? ははっ、そうだとしたら引くわー」



そこまで言った時、あたしはアキの顔を見てなかった。いいや、見れなかった。だって今アキの顔を見たらもっとイライラしちゃって、もっと酷い事を言いたくなると思ったから。


それくらいあたしは苛立ちに身を任せてしまってた。


だから気づいてなかったんだ。

アキが今、どんな顔してるかなんて。


それに気づいたのは、アキのこの一言を聞いて。



「……ああ、そーかよ」



その声はアキを知ってこの3ヶ月、未だかつて聞いた事の無いような声だった。


冷たくて、突き放すような、残忍な声。