再び机に伏せって眠りに入る体勢を整えた。
だいぶ打ち解けたと思ってたけど、やっぱりまだ1ヶ月やそこらで瀬戸の事を理解するのは難しかったみたい。
瀬戸という人間は未知の生物だ。
結構知ったふうに思っていたけど知りえた情報はまだまだ氷山の一角だったみたいだ。
「だー、待て待て。ここからが本題だ」
あたしの体が揺れる。それは瀬戸が机ごとあたしを揺らしてるせい。
ガタガタとうるさいし、体が揺れるたびにあたしのセミロングな髪が鼻先をくすぐって、すごくむず痒い。
「タダとは言わないって。おれが取ったノートで手を打つってのはどーだ?」
「なにそれ?」
「秋月が寝てた間の授業ノート。テスト前に写させてやるよ、教科問わず。なっ? これでどうだ」
「んー……」
……どうだろう。
正直、他の子に見せてもらうって手もあるんだけど。
「なっ? 損はないだろ」
そう言ってにこにこお日様スマイルで言われると、なんかちょっとずるい。やってもいいかなー? なんて思ってしまう自分がいて、なんかくやしい。
瀬戸の無邪気な笑顔って武器だよね。
それを本人意識なくやるから、たちが悪いけど。



