妄想ラブレター




「わかってねーなぁ。手紙だからいいんじゃん。今のご時世何でもケータイだスマホだって言われるネット社会にあえて逆走する。そこにロマンを感じるだろ?」

「感じない」

「おいおい」



ドン、と、あたしの机に拳を叩き付けた。

まるでテレビの中で、新しい改革について熱弁する政治家みたいに。



「手紙を書く事で、普段忘れがちな漢字だって思い出すし、脳にだって良いんだぞ?」



さっきからちょいちょい親父くさい事言うよね、キミ。



「それに何より画面上に打ち込まれた文章よりも、人の手で書いた手紙の方が想いは伝わるって言うだろ? 同じ文章でも手間をかけて書かれた本人の肉筆の方がもらったら嬉しいじゃんか」



まぁ、それはそうかもしれないけど。



「でも、だからってそれをあたしと瀬戸でやる意味が分かんないし」

「それは、おれの暇つぶしにだな……」

「却下」



あたしはそんなに暇じゃないから。