妄想ラブレター




「勘太郎のノート……絶対読めないぞ。あいつ死ぬほど字が汚いからなぁ」



そう言って瀬戸は教卓の前で他の男子とふざけ合うカンに視線を送る。


どうやら昨日見たプロレスごっこでもしてるんだろう。男同士技を掛け合って爆笑してる。


高校生にもなってプロレスごっこって……。


カンは高校に入ってすごく背が伸びた。元々170cm台だった身長はこの半年で10cm近く伸びたって言ってた。

多分まだまだ伸びるんだろうなって思うけど、それは見た目の話だけで、中身は中学から何一つ成長していない。


いや多分、小学生の時もあんな感じだったんじゃないだろうか。



「そーいやそうだった。カンのノートはいつもミミズが這ってたわ」



あたしの言葉に「はははっ」と、瀬戸は笑う。


ひだまりの笑顔で笑った後、ちょっと何かを思いついたみたいに瀬戸は口元を綻ばせた。