「ツヤコ聞いてくれよ!」
うっさい。あっち行け。
あたしは顔を上げず、伏せたまま寝たフリを決め込んだ。
「なぁって。今朝面白いモン見たんだって。なーなー」
マジでコイツだけは……。空気読めよ。
「やめとけって勘太郎。ツヤコはテスト勉強で疲れてんだよ。そっとしといてやれよ」
「ははっ、まさか。ツヤコがテスト勉強を真面目にするわけねーだろ」
ムカ。失礼な。
……確かに大してしてないけど。
「それよりアキチャーン」
「なんだよ、キモい声出すなよ」
「お前、今朝一緒にいたあの美人はどこのどなたかなぁ〜?」
びくり。
思わず反応してしまった。
髪の隙間から辺りを覗いてみると、アキの首に手を回しながらカンがニヤついたいやらしい顔をしてる。
どうやらあたしの反応には気づいてないみたい。よかった。