「馬鹿馬鹿しいでしょ? 高校入って何が良かったって、あのばっかみたいな日々ってなんだったんだーってくらい、みんな大人だったって事だな」

「まぁそんな馬鹿みたいな事でいじめみたいなのは無いな」

「うん。ほんと狭い世界で生きてたなーって思ったよね。それくらい高校生活は快適だな」



一歳違うだけでこんなに世界は変わるのかって心底思う。


つい去年までは中学生だったくせに、高校生になってみたら中学生なんてどんだけ子供なんだって思うもんな。



「そだね。でも艶子は部活もバイトもしてなくて、何がそんなに快適?」

「何がって、この環境が快適だからに決まってるじゃん。それに……」

「それに?」



ポテトを食べ終えた由美子の口が止まった。


こてんと首を横に倒し、あたしを見つめてる。


その瞳を真っすぐ見つめ返し、あたしも首を捻る。



……それに?



その後に続く言葉は出て来なかった。


なんだろ?



「まぁ、あたしは今を謳歌出来てるんだからいーでしょ」



そう言って最後の一口までカフェオレを啜り切った。