背の高いカンは周りより頭一つ抜出てる。そんな長身男が全速力でやってくれば、誰もが道を開けずにはいられない。
みんな驚きながら道を譲ってる。
なんか……モーゼの滝ってこんな感じ?
そう思いながらカンが開いた道が閉じる前に、あたしも後を追った。
カンのバタバタと走る足音のせいか、殺気のような気配を感じてか、あたし達が窓辺に着く前にアキは振り向き、ギョッとした表情を浮かべてた。
「なっ、なんだよ!」
「おれが何度も呼んだっていうのに無視するとはどういう了見だ!」
「知るかっ!」
その場を立ち去ろうとしたけれど、アキが駆け出すよりも先にカンがアキの体を捕らえた。
そして素早く首に腕を回して、スリーパーホールド。
「か、んた、ろ……離せよっ……!」
「おれを無視した報いだ。愛のムチとして受け取れ」
わー、えらく歪んだ愛だな。



