「ところで櫻田先生……あの女の子は」
「李依(りい)ちゃんだよ。高校3年生で智也が担当してる子なんだけど」
何で患者さんとデートを?
「アフターケアだって言ってましたけど」
「あぁ……うん。李依ちゃんね、極度の歯科恐怖症だった子でさ。うちの医院に来た時には虫歯がかなり酷い状態で……とても残せるような状態じゃなかったから、歯1本抜いちゃったんだよね」
そういう事情が……。
てゆーか、そんな個人情報、私に教えてよかったの?
「李依ちゃん、抜いたのが相当ショックだったみたいで。だから智也は元気付けてあげようとしてるんだよ」
優しい彼らしいと思った。
「でも普通はここまでしませんよね……?」
「うちの医院ではするんだよ。とことん患者さんと向き合うのが、うちのやり方だからね」
櫻田先生の話を聞きながら、再び視線を智也さん達の方に向けた。

