ラグタイム

藤本さんは息を吐いた。

息を吐きたいのはあたしの方だ。

「まあ、後は居場所を探し出すだけだ。

行き先がわかれば、居場所もわかったようなものだ。

そう思わないか?」

藤本さんの言葉に答えることもできなければ、首を縦に振ることもできなかった。

「夕貴?」

何も言わないあたしに、藤本さんが顔を覗き込んできた。

「――居場所が見つかっても、兄貴が“戻りたくない”って言ったらどうするんですか?」

そう言ったあたしに、
「はっ?

どう言うことだよ?」

藤本さんは訳がわからないと言う顔をした。

「そもそも、生きたままで見つかるって言う保証があるんですか?」

「ちょっと待て、何の話だ?

お前は一体何が言いたいんだ?」