「俺、戻らないから」

兄貴が言った。

「えっ…?」

戻らないって、どう言う意味なの?

「な、何でそんなこと言うんだよ!?

ああ、あれか!?

あたしがいつまでもバイトしてるからか!?

女子力もロクに磨かないで、毎日のようにグータラしてるからか!?」

あたしが言っても、兄貴の悲しそうな顔は変わらなかった。

何で何にも言わないんだよ…。

「バイトしながらだけど、ちゃんと就活して正社員として雇ってくれるところを探すから!

女子力も少しずつだけど、ちゃんとあげるから!」

兄貴があたしに背中を見せたかと思ったら、歩き出した。