「えっ…ああ、はい」

あたしは首を縦に振ってうなずいた。

「青山くんがあ…俺のことを“夕貴さん”って呼ぶなら、俺は君のことをどう呼べばいいんですか?」

危ない…。

うっかり、“あたし”と言いそうになったぜ…。

すぐに気づいて、“俺”と訂正できたところは我ながらよかったぜ…。

ホッと心の中で胸をなで下ろしたあたしに対し、青山くんは不思議そうな顔をしていた。

「んーっと…兄は青山くんのことをどう呼んでたんですか?」

そう聞いたあたしに、
「その…敬語で話すのはやめない?」

青山くんが言った。

「えっ?」

あたしは思わず首を傾げた。