「あなたたちの言う通り、あたしは男じゃなくて女です。

性別を偽って、『ラグタイム』で働いていました。

あなたたちを騙して本当に申し訳ないと思っています」

頭を下げているから、彼らの顔は見えなかった。

「違う、こいつの言うことは全部間違ってる」

その声に顔をあげると、藤本さんだった。

「夕貴、顔をあげろ。

全部俺がやったことなんだ。

お前が謝る必要はない」

藤本さんにそう言われて、あたしは頭をあげた。

「彼女に男として『ラグタイム』で働くように言ったのは、俺だ。

俺が朝貴の身代わりとして働いて欲しいと頼んだんだ。

夕貴を双子の弟だと言って性別を偽ったのは、トラブル防止のためだった。

そう言うことはないとわかっているけど、念のためとして」

藤本さんが兄貴たちに説明をした。