パジャマからシャツとジーンズに着替えて顔を洗った後、部屋を出た。

マンションを出ると、すぐ近くのところで黒い車にもたれかかっている藤本さんがいた。

「よし、乗れ」

藤本さんが助手席のドアを開けた。

どうしてもここに座らなきゃいけないんですか?

チラリと藤本さんに視線を向けると、
「遅れるぞ」

ジロリとにらまれた。

「は、はい…」

私は助手席に腰を下ろした。

藤本さんが運転席に座ると、車が発車した。

窓から移り変わる景色を眺めていたら、
「『ラグタイム』が飲食店だって言うことはわかってるんだよな?」

藤本さんが声をかけてきた。

「ええ…でも、飲食店と言ってもどう言うタイプの飲食店なんですか?

和食系とかイタリアンとか、いろいろあるじゃないですか」

あたしは言った。