「近所迷惑も何も、こんな時間まで寝てるお前が悪ィんだろうが。

電話にもメールにも出ねーから押しかけてきたんだろうが、このアホンダラ」

若頭藤本が不機嫌そうに言い返した。

「で、ですね…」

呟くように返事をした後、あたしは彼の格好がスーツであることに気づいた。

初対面の時の白スーツではなく、紺のストライプが入ったスーツである。

髪はいつも通りオールバックだから若頭であることには変わりはないけど。

「それで、今日は一体どうしたんですか?」

そう聞いたあたしに、
「夕貴、今日はヒマか?」

藤本さんが言った。

「ええ、ヒマですけど…」

一体何をすると言うのだろうか?