「はあ~」

深く息を吐いた僕に、
「どうした?

もうついたぞ?」

不思議そうな顔をした武人さんが声をかけてきた。

「えっ…あ、ああ…」

窓の外に視線を向けると、水色の壁のマンション――僕が1人暮らしをしている我が家に到着した。

「あ、ありがとうございました!」

僕は武人さんに頭を下げた。

「ああ、気をつけて帰れよ」

そう言った武人さんに僕はもう1度頭を下げた後、車を降りた。

降りたとたん、強烈な雨風が僕を襲った。

さて部屋に入ったら、直美さんを迎えるための準備をしなければ!

そう思いながら僕はマンションの玄関へと駆け込んだ。