藤本さんを名前で呼んでいるところを見ると、彼が藤本さんが言っていた知り合いの探偵か…。

そう思ったのは一瞬で、
「彼女?」

あたしの聞き間違いでなければ、あの短髪の男は“彼女”と口に出したはずだ。

大輔のとこの従業員は、兄貴のことを差しているのだと思う。

でも“彼女”って何だ?

一体、どう言うことなんだ?

「クッソー…。

朝貴のヤツは一体どこへ消えたんだ…」

チッと、藤本さんは舌打ちをした。

「大輔、まだ従業員たちにはバレていないんだよな?」

短髪の男が心配そうに藤本さんに聞いた。

バレていないって、何が?