「あんたら玄関でぎゃーぎゃーうるさ――――あらっ!? のぞみちゃんじゃない!」

 あーあ……母親が出てくると、話が余計にややこしくなる。

「こんな遅くにどうしたの? なんかあったの?」

 執拗に彼女に話し掛ける母親。
 彼女は少したじろいでいる。

 っていうか、目の前に居る息子のケガの件については触れないんですか?


「あっ、私……近くの道路で優斗さんが倒れてるのを見つけて……」

 ちょ、倒れてはいない。
 ちゃんと二本の足で地を踏みしめてました。……辛うじて。


「まあ!! 優斗、道端で倒れてたの? だらしない」

「いやいや……」

 そんな飢え死に寸前のホームレスみたいなことにはなってません、多分。


「っていうかそのケガどうしたのよ!?」

「今頃気付いたのかよ!」

 この発言には、ついついツッコミを入れてしまった。


 それを見ていた彼女が、プッと吹き出した。

「あっ、すみません……あまりに、ボケとツッコミの息が合ってて」


 俺達はお笑い芸人かよ。