授業が終わった時、私は1人になれる場所を探した。
人気のない廊下。
なのに、
「どうして……っ」
背後から、今にも泣きそうな声が聞こえた。
私は、足を止め振り返った。
走ってあとを追いかけてきたのか、そこには「はあ……はあ……」と息切れをした隣の席の女の子がいた。
「なにが?」
訳が分からず、聞き返した。
「だって、さっきの教科書落としたの、わざとでしょ……!?」
「………」
私はその言葉に返事はしなかった。
わざとだとしたら、なにがあるっていうの?
「どうして私のこと、助けて……くれたの?」
「………」
どんどん弱々しくなっていく声。
だけど、私はそれにも答える気がしなかった。
なんて答えたらいいのだろう。
わからなくて、彼女に背中を向けた。

