私は、いてもたってもいられなくて、なにか方法はないかとわざと教科書を落とした。
予想通り、みんなが私に意識を向けた。
グチグチと私の文句を言う。
私のことなんてどうでもいい。
なにを言われても、もう傷つかないから。
だから、助けた。
……ううん。
きっとそれは違う。
彼女の存在が“あの頃”の私と重なったからだ。
あの頃の私は、誰かに助けを求めた。
“助けて”って。
でも、誰1人助けになんて来てくれなかった……。
だからかな。
彼女の気持ちが、私にはわかった。
傷つける人たちは、人の痛みになんかわからない。

