「大丈夫?」

私は、この子が勇気を出してくれたように、私も話しかけた。


「う、うん……」

女の子は肩をビクッと跳ねあがらせ、一瞬目が合ったかと思えば、すぐ逸らした。


ああ、相当怯えているんだ。

「そう」

友達なんて、よくわからない。

どんな感情を持てばいいのかも。


“あの日”に全て捨ててしまったから。


なかなか先生が来ないと思っていると、1限目から先生の都合によって自習になっていた。



すると、突然前あたりに座る男女が一斉に後ろを向いた。


コソコソとみんながニヤニヤしながら話している。


私を見てる?

そう思ったけれど、みんなの目線は私からほんの少しずれていた。


みんなが見ているのは……

私の隣の席に座る女の子。


みんながなにを言っているのかと、私は耳を澄ませた。