「俺が、なに?」

ジィーっと私を見つめる松井くん。


ふと思い出した。

あの閉じ込められた時に見た、松井くんの整った顔。


凄く綺麗な顔をしてた。


さっきから、ずっと視線が痛い。

もちろん、松井くんからしかいない。


「な、なにもないから!」

ジィーっと黙って見つめられると、なぜか気まずくなり目を逸らした。


「なーんだ。俺の顔が見たいのかと……」

「松井くんって、なんか意外とSっ気があるよね」


「バレた?」

なんて言って笑っている。


でも、その時ふと目に入った。

「え……」


袖から少し見えた、腕にある“痣”が──……。


それに気づいた松井くんは、また焦った顔をして袖を引っ張って隠した。


「松井くん、今のって……」

「三浦さん。もうこの資料終わったから職員室に行こうか」


「え、あ。うん……」


きっと松井くんは、知られたくない事情があるんだよね。