「ほらほら、他の先生に見つかる前に早く家に帰って登校しておいで」


そう言って、教頭先生に門まで送ってもらった。

「ありがとうございました」


しばらく歩き始めたものの、松井くんと2人になるとなぜか気まずい……


無言のまま、歩き続けた。


「じゃあ、俺こっちだから」

指差して左方向へ歩き出す松井くん。


私もそのまま真っすぐ歩いて家に帰った。


「ただいま」


いつもなら返ってくる“おかえり”の一言も今日は返ってこない。


朝に家に帰ってくるなんて、少し違和感を感じる。


私は鞄をベッドの上に置いて、軽くシャワーを浴びた。