もう少しでメガネに触れれる。

そう思った時、松井くんが苦しいような、険しい顔をした。


やばい。

起きてしまう。


私は手をバッ!と元に戻し、さっき寝てた位置に寝転んだ。


それにしても、

私は一体なにをしようと……


「あ、三浦さん起きた?」

そう言って松井くんが私の顔を覗きこんだ。



「わっ! あわわ……」

私はとっさに視線を逸らした。


だって……


まるで、私が“押し倒されました”みたいな体勢になっているから。


それに、さっき見た顔。


松井くんは謝りながら慌てて私から離れた。


「松井くん……!」

私は起き上がり、無意識に松井くんの名前を呼んだ。


「ん?」


って、なんにも用ないんだった。


「…あっ、頭!」

「頭?」


頭とだけ言われてもなにかわかるわけない松井くんはハテナだらけだと思う。


「前髪が……跳ねて、ます……」

ぎこちない言い方だけれど、松井くんはとっさに片手で前髪を押さえた。


私はそっと胸を撫で下ろした。