「おはよ………う?」
久々に学校に来てみた。
その時、俺は違和感を覚えた。
いつも必ず一緒にいるはずの、麻紀と琴がバラバラだった。
「ゆっきー! やっと来た」
「ほんと、遅いよ! 大丈夫だった?」
周りにいた奴らが、俺に気づいたのか話しかけてきた。
「おう。もう平気」
そんな、周りの声に気づいたのか、今度は麻紀がパアッと笑顔になり、こっちへ向かってきた。
「ゆっきー、おはよう! 凄く心配したんだよ!?」
「あぁ、悪いな」
チラリと琴を見ると、窓側の自分の席に外を見ながら座っていた。
瞳が……違う。
ひどくて、冷たかった。
もうなにも映らせない。
とでもいうような、そんな瞳。
「なあ、お前らさ……」
「ゆっきー、聞いてよ!」
2人のことを聞こうとすると、麻紀が少し大きな声を出して言った。
「どした?」
「なんかね、琴のことなんだけどー」
“琴”……。
その名前が麻紀から出てきたことに、俺は反応する。

