そんな時だった。
両親が、離婚することになった。
名前も、母親の名字が『雪村』で、離婚したから本当は、父親の『松井』へと変わった。
けど、学校では卒業するまでずっと、『雪村』でいたかった。
まだ、『雪くん』と呼ばれたかった。
親の離婚に俺は少し、ホっとした気持ちがあったのかもしれない。
だけど、地獄はここからだった……。
母親が男の元へ行き、家を出て行った。
父親は、前より酒を激しく飲むようになった。
その時の俺は中学2年という、お金もそんな持ってない。
バイトもできない俺には、この家にいるしかなくて。
父親と一緒に暮らしていた。
その日から、毎日のように暴力を振るわれ、限界がきた時には思い切って反抗してみたこともあった。
もちろん、父親に勝てるわけなんてなくて、なにも言えなくなった。
いつの間にか見える痣がついた時には、学校を何日か休んだこともあった。
そんな、何日か休んだ時に、まさか俺は“あんなこと”が起きてるなんて知るよしもなく──……。

