だけど、この時の俺には“恋”というものを嫌っていた。


恋なんて、くだらなくて、

恋なんて、大っ嫌いだった。


そうなったのは、全て──……親のせいだった。



『おい、お前また他の男といたんだろ』


『違うわよっ、アナタだけよ』

『知ってるんだよっ!! これで何回目だよ』


リビングで言い争う両親。


本当にこれで何回目なのだろう。


聞き飽きたくらいの親の口喧嘩。


正直言うと、母親はわかりやすいくらいに浮気をしている。


実際俺だって、母親が他の男と歩いているところなんて、何回だって見たことがある。


怒っていつものように母親が家を出ていく。


こんな時、少しでも親父に話をかければ、暴力を振るわれるようにもなった。