スウーっと頬に冷たいなにかが、流れた時、目が開いた。


あれ……?

夢?


この時さっきのは、夢だったのだと実感させられた。

あの日の夢を見た私は、涙を流していた。


それにしても、ここは保健室?


「ホッホッホ。目覚めたかい?」

「わっ!」


びっくりした……。

どこかで聞いたことのある声が、すぐ近くで聞こえてきた。


気づかなかっただけで、隣りにいたのは教頭先生だった。


でも、なんで……?


「もしかして、覚えておらんのか?」

「えっと……」


「雨の中で倒れておったんじゃよ」


……そうだった。


『……琴』


悲しそうな声だった。



どうして、ウソをついたの……?


わからないよ……。