「俺は女で友だちだと思えるのはお前だけなんだっ」
と起き上がった真人は手を取ってくる。

 それもどうだ、と思ったが、真人は、手を掴んだまま、間近に瞳を合わせてきた。

「莉王、頼みがある」

「なに?」

「……卯崎允とは付き合うな」

「え――」

「お前のためにならない。

 俺はお前を大事に思っているから、不幸にはなって欲しくはないんだ。

 お前はいい奴だよ。
 ま、いろいろあるけど」

 いろいろ、なんだ!?

 どさくさ紛れにロクでもないこと言ってくるな、こいつ、と思ったが、真人は、なおも言い募る。

「だから、不幸になって欲しくないし。

 お前と一緒になって、卯崎が幸せになるところも見たくない」

「……特に一緒になる予定もないけど。

 私と一緒になったからって幸せになるとも限らないじゃない」
と言うと、真人は、

「いや、なるよ」
と言い切った。