王様とうさぎさん

 



 ドンドンドン、と允はその店のドアを叩いた。

 小洒落た呑み屋街にある小さな店だった。

 ドアがなんだか板チョコみたいだ、と思いながら莉王は眺めていた。

「居ない。
 居ないな」
と誰かに確認させるように呟き、允は踵を返そうとする。

「まだ開いてないみたいだ、帰ろう」

「はあ。
 まあ、時間早いですからね」

 開いてないとわかっていたなら、何故来た、と思ったのだが、允は、

「美奈さんに言われるまでもなく、お前を連れて立ち寄れと言われてたんだが。

 来たけど居なかったんだ、仕方がない。

 帰ろう」
と早口に言う。

「わざとこの時間に来ましたね?」

 なんだかわからないが、私を連れて会いたくないらしい。