王様とうさぎさん

「会ってみたらどうですか」

「何度も言わせるな。
 死んでも厭——」

「あっ!
 あっ、さっきの店の地図、貰うの忘れたっ」

「突然、違う話を混ぜるなっ。
 気が抜けるっ」

 反論の言葉を遮られた允がそうわめく。

 莉王は乗り出し気味だった背を座席に預け、少しふて腐れたように呟いた。

「まあ、いいですけどねー、別に。

 どうせ私は貴方となんか結婚しないんだから」

 ご自由にー、と外を見る。

 来るときには、きちんと座っていたのだが、窓に頬杖をつき、脚を組んで、外を眺めた。

 腹が立ってはいるのだが、何故だろう。

 少し、楽になった気がしていた。

 允がラジオをつける。

 沈黙が厭だったのか。

 しかし、何故かその番組は、ずっとパーソナリティーが相談相手に説教を続けている、というものだった。

 聴くともなしにその説教を聴きながら、しばらく走ったところで、訊いてみた。

「忍さんって、お友だちですか?

 その人も貴方の憧れの人?」