王様とうさぎさん

「じゃあ、ごゆっくり~」
と美奈は笑顔で手を振った。

 外に出ると、罰悪そうな顔で、允が車の側に立っていた。

 乗ろうかどうしようか、迷っていると、助手席側に来てドアを開けてくれる。

 仕方なく乗り込んだ。

 どのみち、山中の此処にタクシーが簡単に来てくれそうにもなかったからだ。

 あの座り心地のいい座席に乗った瞬間、允が二千円渡してきた。

 少し多い。

「いりません」
「いや、受け取れ」

「いいえ、いりません」
と揉めている間も、車は走る。

 結局、受け取らずに、小物入れに置いた。

 フロントガラスを見て莉王は呟く。

「その花さんて人は、今はご近所じゃないんですか?
 わざわざ見合いをするなんて」

「他所の町でアパート暮らしをしているらしい」

 そう允は答える。