王様とうさぎさん

「花さんて、誰ですか?」

「近所の人だ」

「その人が、恋人だったんですか?

 バツイチだから、他の檀家さんが反対して」

「違う」

「そのようにしか聞けませんでしたが」

「お前、国語の成績、悪かったろう」

 突然、そんな失礼なことを言い出す。

 今日は比較的おとなしい思っていたのに、と思っている莉王の前で、允は言った。

「何を聞いてたんだ。

 その花さんが見合いの相手だ」

 思わず、立ち上がりそうになる。

「し……知らない人だって言いませんでしたか?」

「俺は知らなかった。

 知らないことになっていた。

 だが、電話で親が話しているのを聞いたんだ。

 それを知ってから、ますます見合いが厭になった」

 だんだん允の口調が重くなる。

 水を注ぎに来た美奈が言った。

「允さんたちが中学生の頃、花さんはみんなの憧れの人だったから」