ちょうど食事を終えた頃、及川から連絡が入った。
何処かで見張ってるんじゃないかと思うくらいのタイミングの良さだった。
「楽しくやってるか?」
そう訊いたあと、及川は何故か、すぐに違う爺さんと交代する。
爺さんは言った。
「ちょうどその近くに雰囲気のいい店がある。
珈琲でも飲みに行ってはどうかね?」
笑顔の素敵な爺さんだ。
断りづらい、と思っていると、允が、
「わかった」
と微笑んだ。
「美奈さんの店でしょう」
どうやら、その爺さんの孫娘が、最近、オープンした店のようだった。
宣伝か。
それにしても、爺さんたちに応対する允の笑顔は柔らかい。
会社では見ない顔だった。
檀家さん受けしそうだし。
社内でも、こういう顔つきなら、もうちょっと女子の食いつき具合が違うのではないかと思ったが、それはそれで、允らしくない気もした。



