王様とうさぎさん

 


 日曜日、莉王はその服を前に、少し浮かれていた。

 わざわざ允とのデートのために新しい服を買うのも、なんだか楽しみにしてたみたいに見られて厭だなあ、と思ったのだが。

 リアルタイムで総代さんに中継しろと言われたそうだから、知らないおじさんたちに見られても失礼のないように、きちんとした服にした方がいいか、と。

 まあ、自分にそんな言い訳をして、前から気になっていた、少し高い服を買った。

 よく考えたら、中継に付き合えばいいだけなんだから。

 デートとかって、かしこまる必要もないか。

 お友だちと美味しい蕎麦屋に食べに行く、くらいの感覚で。

 ん、蕎麦屋?

 やばい。

 お醤油飛ばさないようにしなければ。

 何か膝にかけるものを。

 いや、大抵、ああいうのって、胸許に飛ぶんだよな。

 いっそ、幼稚園児のようにスモックを着たいと思ったとき、スマホが鳴った。

 允だった。

 下まで迎えに来ると言う。

 駅辺りで待ち合わせる手はずになっていたのに。

 家がバレるな、と思ったが、それで押し掛けてきて、どうのこうの、という風にも見えなかったから、まあ、いいか、と思った。