王様とうさぎさん

 可哀想……。

 由莉子はなにかを知ってる気がした。

 自分も知らないなにかを。

 莉王も困った顔をする。

 彼女もまた知っているのだろうか。

 あのとき、突然、莉王は清香に乗っ取られたように見えた。

 自分にはわからなかったが、清香が彼女になにか囁いたのでは。

 それで、莉王の中に隙が生まれた。

 忍は目を閉じ、少し上を見て考える。

 そして、言った。

「知ってることがあるのなら、全部話してよ、莉王ちゃん。

 僕ももう清香のことは吹っ切りたい。

 このままじゃ、前へ進めない気がするから」

 由莉子は深く頷き、

「そうね、いい決断だわ。

 でも——
 うちの嫁に向かって前へ進まないでね」
と笑った。

 いや、目が笑っていない。