王様とうさぎさん

 


 金曜日、自分から会いに行くのも、癪だな、と思いながら、莉王はデスクでパソコンを打っていた。

 そもそも仕事での接点などないし、お互いが積極的に会おうとしなければ、会う機会などない。

 社食に行く時間も、仕事の関係か、微妙にずれてるし。

 だから、せいぜい、二、三度しか顔を合わせなかったんだな、と気づいた。

 だが、こちらから望んだことでないとはいえ、一度、付き合うと約束したのだ。

 向こうは困っているようだし、それを反故にするのも……

 って、だから、自分から言ってきたんだろっ。

 連絡してこんかいーっ!

 またうさぎの王様に土下座する允を思い浮かべながら、ちらと引き出しを見る。

 その中には、莉王のスマホがあった。

 允は莉王の番号もアドレスも知らないのだが、つい、何度か見てしまっていた。

 もういい。

 もういいや。

 なにも言って来ないってことは、誰か代わりが見つかったのよ。

 そうそう。

 これでせいせいした。

 コンパ頑張ろうっと。