王様とうさぎさん



 うーん。
 この間は勝てたんだが。

 允は先程からずっと父親の将棋に付き合っていた。

 既に泥酔している真人が時折、寝返りを打ってはぶつかってくる。

 酔っているからか勝てないのか。

 それとも、密かに父親が腕を上げていたのか。

 周りに凄腕の爺さんたちがたくさん居るからな、と思っていると、襖が開いて由莉子が顔を出す。

 笑顔だが、それが顔に張りついているようで怖い。

 なに?
と見ると、

「あんた、莉王ちゃん、倉庫に連れ込んだの?」
と訊いてくる。

「は?」

「なんか強引に話を進めたらしいのはわかってたけど。

 まさか、嫁入り前の娘さんにご無体なことを」

「会社の倉庫でなにをどう出来るって言うんだよ」

 だが、由莉子は聞いていない。

「お母さんは、あんたをそんな子に育てた覚えはありませんよっ」

 莉王に聞こえないようになのか、抑えた声で怒鳴ってきた。