王様とうさぎさん

 忍は愉快な常連客の話など始め、莉王はそれを楽しく聞いていたのだが、山を見ていた視線を忍に向けて、どきりとした。

 彼の後ろに、清香が立っていたからだ。

 無言で見下ろしている。

 笑いながら語っていた忍が莉王の視線を追う。

「……なにか居る?」
と抑えた声で訊いてきた。

「言っていいのかどうかわかんないんですけど」

「じゃあ、ボディランゲージで」

 たぶん、それ、余計変です、と思った。

「清香さんらしき人が居ます。
 私は写真も見たことないんですけど、たぶん、そう。

 この間から、此処に現れるんです」

 忍は振り返り、
「清香……」
と呼びかけた。

 彼女は無言で、忍を見下ろしているだけだ。

「……どうなってる?」

 真面目な顔のまま、忍は訊いてくる。