王様とうさぎさん

 忍はよろよろと、その部屋に入ると、いきなり、仏壇に手を合わせ始めた。

「どうか、王様を允の毒牙からお守りください」

 允さんの先祖にそれ祈って、効き目あるのだろうかな、と思い、眺めていた。

 もう、いつ寝てもいいように、布団が敷かれていたが、忍は酔っていても、ちゃんと、それを踏まないように避けて歩く。

 太郎の笑い声が襖越しに聞こえてきた。

 何故か太郎は酔ったまま、允と将棋をやっているのだが、どうやら、勝っているようだった。

 声の聞こえた襖の方を見、忍は微笑ましげな顔をする。

「いい家だよねー。
 王様に、ふさわしいおうちだ。

 お城じゃないけど」

「いや、別にお城に住みたくないですから」

「そう?
 女の子の憧れじゃない?」

「子どもの頃は。
 でも、今考えたら、掃除が大変そうだなーって」
と大真面目に語ると、忍は笑う。

「なに言ってんだよ。
 自分で城を掃除する王様なんて居ないよ」

 王様、涼もう涼もう、と忍は莉王の手を掴み、縁側まで引きずり出す。

 上機嫌だった。