長い戦いだった。
莉王は、よろりと倉庫から出た。
潮が、
「あんた、ボールペン一本取ってくるのに、どんだけ手間取ってんのよ」
と言う。
「いや、ちょっと……」
あの霊がついて来ないよう、いろいろいいイメージを思い浮かべようとしたのだが。
いつも職場とアパートの往復で、代わり映えのしない毎日を送っているから。
頭に浮かんだいいことと言えば、允の車の座席が座り心地がよくて気持ちよかったことと。
蕎麦が美味しかったことくらいしかなかった。
結局、全部允がらみだったので、最後には、頭の中で、允がうさぎの王様に土下座する妄想で気を晴らすという悪循環。
「も、今日は最悪〜っ」
倉庫から赤いボールペン一本掴んで出て来た途端、そんなことを叫び出す莉王に、
「はあ〜?」
と潮が声を上げる。
なにがなんだか、わからないようだった。



