王様とうさぎさん

 允は莉王の話を黙って聞いていた。

 なにか坊主に説教しているようで落ち着かないのだが。

 坊主に説教、釈迦に説法。

 むず痒いような気持ちになるが、允は真剣に聞いてくれていた。

「黒部清香さんには、なにか心に引っかかることがあったのではないでしょうか。

 だから、自分には霊が憑いている、と言い出した」

 清香の視線を気にしながら、そう言ってみる。

 允に思い当たることがあれば、話が早いのだが、やはり、允からの答えはなかった。

 恐らく、清香からの相談に対してもそうだったのだろう。

 彼はいい加減なことは言えない人間だ。

 清香の問いに、彼女が落ち着くよう、適当にとり繕って答えるなどということは出来なかったはずだ。

 清香は相談する人間を間違ってしまったのだろう。

 本当に霊障が起きていたのだとしても、きっと、霊能者よりも、彼女自身を理解している人間の方が、早くにその霊障の原因に思い当たってくれたに違いない。

 例えば、そう——

 忍とか。

 身近な人間ほど、相談しにくいこともあるから、年が近くて、僧侶の允を選んだのかもしれないが。

『僕だって、簡単に女に騙されるんだよ』

『……黒部清香にだよ』

 そんな忍の言葉を思い出していた。