王様とうさぎさん

 名前を出しても、清香はこちらを見ない。

 そうか、と允は言った。

 そのまま沈黙する。

「話してくれませんか?
 貴方が霊障相談にこだわるわけを」

 しばらくエンジン音だけが聞こえていた。

「たまに言ってくる人が居る。

 霊が出る、とか、霊が見える、とか。

 写真に霊が写っているとか、人形に何か乗り移ってるからなんとかしてくれとか」

「あの、最後のはなんか厭なんですけど……」
ともらしたが、允は聞いていない。

「黒部清香が或る日、俺に言ってきた。

 自分には霊が憑いている、と。

 だが、憑いている、と言っただけだった。

 それを祓ってくれ、と言われたわけじゃない。

 彼女は自分になにか伝えたかったんだと思う」

 でも、自分には霊が見えないから、わからなかった、と允は言った。